補聴器のご紹介

補聴器という機器

小さな音を大きくする

補聴器が出来る事。それは『小さな音を大きくすること』です。(それだけ?)とガッカリされる方もいるかもしれませんが、基本的な機能は”それだけ”です。しかし、快適な使用や自然な聞こえを実現するために凄い技術が詰め込まれているのも事実です。

  • 補聴器の聞こえ方は人それぞれ。
  • テレビの音を大きくしたり、イヤホンで聞いても分からない。
  • 音は聞こえるが言葉が理解出来ない。
  • 複数の人との会話や騒がしい場所での会話が聞き取れない。
  • 遠くの小さな音だけ聞きたい。

補聴器でアンチエイジング?

補聴器を着けると良く聞こえる。全ての方がそうなる訳ではありません。補聴器を着ける事で耳の機能が若返る訳では無いのです。

聴力レベルと聞こえ方、会話の理解度

見えない音を見えるように

聞こえ(音の大小)を低い音から高い音(周波数)までしらべる事で、聴力レベルを確認する事が出来ます。補聴器購入前には必ずお調べする項目の一つです。

図:1(年齢別による聴力低下)

図1にあるように年齢を重ねると、一般的にいう”高い音”は聞こえづらくなります。聴力を測定してみたら、高い音が聞きづらくなっていた(高周波数帯で聴力低下があった)ので補聴器の利用を考える。と言うのは正しくない判断の可能性があります。また、聴力測定をしたら、高い方の音が下がっているだけ(高音漸形型の聴力)で”年齢相応だから”補聴器は必要ない。と言うのも同様に、正しくない可能性があります。

聴力レベルは一つの目安。言葉(ことば)の聞こえ方も確認してみましょう。

聞こえのレベル(聴力低下)が起こると、聞こえづらくなります。しかし、病気など(突発性難聴)で聞こえづらくなった訳ではなく、緩やかに(老人性難聴)聞こえのレベルが低下していく場合は中々、その変化に気づかない事も多いです。また、”何となく感じてはいる”状況でも特に不自由なく生活は送れるものです。そして、”聞こえづらく感じる”こと、”会話が聞き難い””状況に応じて理解できない”は単純に聴力レベルに比例をする訳ではありません。

『語音弁別能』や『語音明瞭度』といって『あ・い・う・え・お・・・』など(単音節語表)による『ことばの聞こえ方』の確認する事が補聴器の利用を検討する際には大切なポイントの一つです。

いつから着ける?どうなったら着ける?

音を補うことで生活がし易くなると感じたら。

現在販売されているほぼ全ての補聴器は”デジタル補聴器”です。このデジタル処理で音の質や使い方に革命的な進化が起こりました。オープンフィッティングと言われる、高い方(高周波数帯)のみ音を出す(利得を上げる)設定などです。こうした補聴器は使用の環境やシーンを幅広く、快適にしました。

年齢よりもライフスタイル

超高齢化社会や人生100年の時代と言われる世の中で『50歳で補聴器なんて!』『60歳よ。お婆さんじゃないの!』と”補聴器は老人がするモノ”といった認識を持つ方は少なくありません。当店でも扱いのあるメガネでも遠近両用の”2重焦点・バイフォーカルレンズ”という小窓が付いたメガネレンズが老人イラストの代名詞であるように、補聴器も”高齢の老人”を表現することに使用される代表的なアイテムの一つだと思います。しかし、それはアナログ時代の古い補聴器と考え方です。

仕事の時にだけ補聴器を使用する方、趣味の時間の時にだけ補聴器を使用する方、会合・会議の時だけ、観劇・公演の時だけ、と様々なライフスタイルのプラスの為に利用される方も増えて来ています。

『平均聴力レベル』を参考にする

それでも”何かの目安”があると良いですよね。その時は年齢では無く、『平均聴力レベル』という指標を参考にすると良いかもしれません。平均聴力にもいくつかの種類があります。『労災認定』や『障害者認定』に利用されるもの、『健康診断』で利用されるものなど。補聴器では一般的に”4分法”という指標を使用する事が多いです。

この平均聴力レベルが40dB~50dBくらいになったら使用を検討されると良いのではないでしょうか?

平均聴力レベルで50dBを超えてくると、少なからず”聞きづらくて困る”を実感されるはずです。日常会話でも(何にか良く分からないな)(この人は声が小さい!)(ハッキリ聞こえない)と感じる機会が多くなるはずです。

聞こえなくなったら使えばいい。では遅すぎることも。

劇的な進化を遂げている補聴器ですが、”耳や聞こえを若返らせる。復活させる”訳ではありません。補聴器に出来る事は『小さな音を大きくする』事です。補聴器をして良く聞こえるようになる方はいます。しかし、同時に補聴器をしてもあまりよく聞こえるようにならない方、(聞こえない方・会話の理解度が上がらない方)も沢山います。

「お試し無料」って言うから試しに補聴器を着けてみたらうるさくダメだ。人の会話が聞きたいのに、色々な音や余計な音まで大きくなってしまって聞きづらい。聞こえづらいけど、それ程不自由はしていない。だから・・・もっと困ったら考えるよ。会話に不自由したら本格的に検討する。ギリギリになったら着ける。と判断する方は比較的多いです。

しかし、”音はするけど、何を言っているのか分からない”のレベルまで聞こえが低下してしまった方などでは、補聴器の装用効果が高く無い(良く聞こえない)事が多いのも事実です。補聴器に頼って生活をしたら”耳の機能が弱る”となんとなくの印象で、自分自身に厳しいストイックな考えをされる方もいますが、適切な調整で適切な音を出す補聴器であればそのような心配はございません。むしろ、プラス(有益)な効果の方が多いはずです。

どんな補聴器が良いのか

先ずは自分が着けたい!と思う補聴器を選ぶ

お子様や小児の場合は治療面を優先し補聴器選定がなされる場合などもございますが、大人の方の場合は先ず”ご自身が着けたい物”を選ばれると良いと思います。同時に補聴器を着けて”どんな音を聞きたいのか?””どう生活をするか?”の目的がハッキリすると補聴器選びに失敗する事は無いと思います。

耳あな(オーダー)型

長所

  • オーダーで耳穴にピッタリと合わせるので、着けやすく抜け難い。
  • メガネ等との干渉も少なく、運動で汗をかいても快適に過ごせる。
  • 目立ちづらい(耳穴・耳の大きさによる)

短所

  • 慣れが必要。自分の声が変わって聞こえる。
  • お手入れ(音の出口)が必要。
  • 拡張機能(通信機能)が限られる(Bluetooth等)

耳かけ型

長所

  • 種類が豊富。性能・価格・機能で多くの選択肢を選べる。
  • 取扱いがし易く、容量の大きい電池や充電タイプも選べる。
  • 軽い着け心地。慣れ易い。

短所

  • マイク(音を拾う場所)が耳後ろ。電話や風音が苦手。
  • メガネと干渉する事も。汗や熱で不快な事も。
  • やや目立つ。

※補聴器を常用する方の多くは上記の2タイプ(耳あな・耳かけ)から選択されます。

ポケット型

長所

  • 比較的に安価で操作が簡単。
  • 単四電池等の大きな電池が使用出来るため高出力。
  • マイクで音を拾う場所や方向を選ぶ事が出来る

短所

  • 補聴器(機器)その物が大きい。
  • コードと本体で一体のためコードが煩わしい。
  • 限られた機能しか搭載されていない。

その他(骨導型・めがね型)

長所

  • 耳あなに問題がある方でも使用が出来る。
  • 鼓膜等の音を伝える器官に問題ある方でも聞こえ易い。

短所

  • メガネ(やカチューシャ等)の状態である事。
  • 耳に掛かる部分を圧着させる必要がある。皮膚のケア。
  • 限られた聴力型に推奨される。(耳鼻科専門医による指導の下で使用。)

補聴器はどこで購入すべきか

価格は?メーカーは? ~いくらするの?どのブランドがよい?~

もっと詳しく補聴器を知るために

『よくわかる補聴器』シリーズ

現役医師の関谷芳正先生が監修・著者のムック本。
耳・聞こえの事から最新の補聴器の機能などが大変丁寧に解説されています。各補聴器メーカーの最新機種や特徴を網羅的に紹介しているので、既に補聴器を利用されている方にも参考になる内容が多いです。お値段もお求めやすい価格なので、補聴器購入を真剣に検討されている方にお勧めです。

(ヤエスメディアムック・シリーズ。画像は2020年版)

『よく聞こえない時の耳の本』

小川郁先生が監修されているムック本。
耳・難聴に関する事。補聴器の効果や認知症と難聴の関連。めまい、耳鳴りと補聴器。また、人工内耳&人工中耳に関する事など、医療面での内容が大変充実しています。『補聴器適合検査』の実施医療施設等の紹介もあるので購入前の受診などについても参考になるのではないでしょうか。こちらも、お求めやすい価格です。

(週刊朝日MOOK。画像は2020年版)

『きょうの健康』(Eテレ)テレビ放送番組

NHKのEテレで放送されている番組内で『難聴』『聞こえ・めまい』『耳』『補聴器』に関する事が定期的に取りあげられます。解説のお医者様は第一線でご活躍されている方ですし、短い時間で完結にまとめられているので、分かり易いです。
更に詳しい内容は『NHKテキスト』での販売もございます。

(画像は2018年9月号)

※一部の書籍は本庄南大通り店の店舗内で閲覧する事が可能です。
また、ご希望であれば書籍の貸出しもさせていただきます。(1週間程度)